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快適空間長距離バスについて

2011
05
July

長距離バスは、飛行場から各地へ運行していたり、東京駅から各地へ運行していたりと、色々な経路で活躍しております。飛行場から運行している長距離バス、またはリムジンバスという呼び方もしますが、こちらはかなりの回数で乗車しました。電車に比べると、料金は2から3倍はかかりますが、それでも快適さが断然よいので、よく利用します。
 豊かな生活社の電子書籍事業参入検討プロジェクトでリーダーを務めることになった編集長の島田は、高橋部長のアドバイスにより学習塾A社との協業による具体的なビジネスの検討をプロジェクトのゴールに加える事になった。これまで全く取引のない他社を巻き込み新たなビジネスモデルを作る、これは豊かな生活社でこれまでに実践した事のない挑戦である。この高いハードルを越えるために、プロジェクトリーダーは何を考え、どのような行動をとるべきであろうか? 

 10月中旬、米アマゾン・ドット・コムが年内にも日本語の電子書籍購入サイトを開設すると同時に、同社の電子書籍端末「キンドル」も日本市場に投入する予定だと報じられた。アマゾンは、日本の大手出版社と価格設定方法などの詰めの協議に入っており、サイト開設時から豊富な品ぞろえができるように準備しているようである。また、出版大手の殆どが今後出版する全ての新刊を電子化する方向で検討を進めている。島田編集長は、このような報道を目の当たりにし、「これまでコンテンツが少なく、企画も乱立していたために普及が遅れていた日本の電子書籍ビジネスもいよいよ本格的な拡大期を迎える、豊かな生活社としても本当に“待ったなし”の対応が求められる」と身の引き締まる思いであった。

 「豊かな生活社がビジネスとして取り組むに値する具体的な領域と取り組み内容」の定義、これがプロジェクトに対する社内での協力を取り付ける必須条件であり、高橋部長が紹介してくれた学習塾A社との取り組みがその具体的候補である。島田編集長は、早速高橋部長に先方のコンタクト先に連絡をとって面談の機会を作ってもらうと同時に、中野室長にはこれまで豊かな生活社が広告出稿依頼も含めてコンタクトしたことのある学習塾の洗い出しを依頼した。

 高橋部長が面識のある学習塾A社のコンタクト先は、教育プログラムと教材を検討している企画開発室の伊藤室長である。高橋部長が電話で面談の申し入れをしたところ、伊藤室長もちょうど来年度の企画を検討し始めたところであり、タブレット端末などを活用したコンテンツ提案であれば是非話を聞かせて欲しいとの事であった。また、中野室長が豊かな生活社がコンタクト可能な学習塾を調査したところ、広告を過去に掲載してもらったところが3社、営業活動をしたことのある学習塾が7社存在した。

 島田編集長は、相田編集長と峰岸編集長の賛同を取り付けるため、2人にここまでの状況を説明した。2人は、学習塾A社との協業が実現するのであればプロジェクトに積極的に協力したい旨を話すと同時に、この取り組みを行うのであれば塾生の親にもアプローチできるとビジネスの広がりが持てるのではないかと島田編集長にアドバイスした。

 社内で協力体制を作る見込みができた島田編集長は、取り組み内容を具体化するために高橋部長と学習塾A社の伊藤室長を訪問した。島田編集長が豊かな生活社で現在検討している電子書籍ビジネス検討プロジェクトの方向性を説明したところ、伊藤室長は学習塾A社でも豊かな生活社が出版している月刊誌「楽しい科学」や書籍「楽しい実験」シリーズのようなコンテンツを上手く活用できないか検討していた事を話てくれた。「楽しく学び、楽しく遊ぶ」を基本方針に、親参加型での科学の実験教室も運営している学習塾A社では、自社だけでのコンテンツ開発には限界があり、他社のコンテンツ利用を検討していたとのことである。そこで、

 ・小学校中学年(小3、小4)向けには、動画なども活用した実験や天体観測などの理科向けのコンテンツ

 ・小学校高学年(小5、小6)、及び中学生向けには、上記の内容に加えて受験対策としてのeラーニング

といったものが提供可能であれば、是非前向きに検討したいと伊藤室長は2人に伝えた。また、この話とは別に、豊かな生活社が提供する雑誌、書籍を塾からの推薦書として販売協力をする事も可能だとの事である。更に、伊藤室長は学習塾A社が現在検討している海外展開での協力も検討して欲しいと話した。

 少子化に伴い、学習塾・予備校の市場規模はこの10年で約1割減少している。学習塾A社は、学習塾業界で新たな形態を作ることで急成長してきた。しかし、今後の成長戦略を描くには、中・高所得者層が増えるアジアへのビジネス展開を視野に入れる必要があると考えている。アジアでのビジネス展開としては、

 ・海外赴任となった日本人の子供をターゲットとしたビジネス

 ・教育熱の高まる海外の中・高所得者層の子供をターゲットとしたビジネス

の順で検討していく方針とのことである。最近のグローバル化の流れで海外赴任となる日本人が増えているが、日本に帰国した際の事を考えて日本の教育カリキュラムに遅れないように、更には受験準備ができるようにと考える親が多く、そのニーズに応えるビジネスで海外の足場を作り、その後現地でのビジネスを拡大するという考え方である。

 2人は、伊藤室長の話を受け、学習塾A社との協業が具体性を持って進められる案件だと受け止めた。しかし、一方でこれまで豊かな生活社では全く考えてもいなかった海外でのビジネスも視野に入れなければいけない可能性も出てきた。このような状況で、プロジェクトリーダーである島田編集長はどのような事を考え、どのような行動をとるべきであろうか?

●日本企業が取り組むべきオープンイノベーション

 「超」成熟といわれる日本市場での新たな成長戦略を描くために、またグローバル化を図るために、戦略オプションとしてオープンイノベーションを掲げる企業が増えている。自前主義に陥りがちな日本企業が、限られた経営資源の枠を取り払って戦略を検討し、単独では創出できない付加価値を企業の枠を超えて作り出していく手法として検討すべきオプションといえる。ただし、多くの日本企業のオープンイノベーションは、残念ながら研究開発や商品開発に限られている事が多いように思われる。物流、販売、サービス、マーケティングといったバリューチェーン全体を視野に入れ、ビジネスモデル全体に対するオープンイノベーションを検討する姿勢が必要であろう。

 豊かな生活社のケースでは、コンテンツ開発から海外での販売、サービスまで含む話に広がった。これは、豊かな生活社単独では考えてもいなかった、更に実現のハードルも非常に高いオプションである。これをコストレス、工数レスで実現できれば、豊かな生活社にとって、更に日本の出版業界にとって非常に意味のあるビジネスモデルイノベーションとなるかもしれない。このような機会を目の前にして、プロジェクトリーダーは次に何をするべきだろうか。

●企業同士の「握り」が最も重要

 企業間の協業は、企業のトップ同士での話し合いで作られる事もあるが、豊かな生活社のケースのように現場レベルでの検討から始まる事も多い。ただし、現場からのボトムアップで始まるケースは、話だけで終わってしまう事が多々ある。それは、企業で承認されていない活動に現場の担当者が時間を割けず、その活動のための社内の利害調整なども難しい事が多いからである。

 島田編集長の場合は、まだプロジェクトの目的とスコープの変更も高杉社長に相談していない状況であり、その報告と同時に学習塾A社の野原社長にスコープと取り組み方、更には両社の役割などに関して協議してもらえるように段取りすべきである。異なる企業同士の協業においては、両社のベクトルが合っている事が最も重要だからである。そのベクトル作りができれば、周知徹底して活動することで適切な体制も作る事ができる。

 両社間でのベクトル合わせを行う前に、豊かな生活社では議論しておかなければならない事がもう1つある。それは、プロジェクトのスコープである。学習塾A社の伊藤室長は、海外展開までも視野に入れて検討してきたいとの希望を伝えているが、これは電子書籍事業参入の検討という豊かな生活社のプロジェクトスコープを超えている。そもそも、電子書籍を出版するだけでも豊かな生活社にとっては未知の領域である。そのスコープを、これまで経験がない海外ビジネスにまで一気に広げるのはかなり無理がある。仮にスコープに入れるにしても、そのタイミングや手法などを検討し、自分たちの考えを整理しておく必要がある。

 一方、伊藤室長から海外展開の話は聞いたものの、学習塾A社としてどこまで具体的に検討しているかはまだ不明である。高杉社長に野原社長と話をしてもらう際に、その確認とこの協業を行うために今下期の活動でどこまでの検討が必要かを明確にしてもらい、両社の「握り」を適切に行ってもらう必要がある。【井上浩二】

(ITmedia エグゼクティブ)


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